Sep.05.2005  SUPER GT Rd5 MOTEGI GT300kmレースレポート 番外編
「緩んだネジ」  林 みのる

 

 

 

 


いやーっ、ピットにガライヤを含めて3台が並んでいる映像が映し出された瞬間、一緒にモニターを観ていた大勢の人たちから、ざわめきに混じって失笑の声すら聞こえてきたような気がするくらい、そこに居たたまれないような気恥ずかしい思いをしたが、これが、日ごろから信頼厚き我がチームなら、何が起こったんだ?と、まず原因を考えるのが通常だろう。しかし、鈴鹿1000Kmの失態も記憶に鮮やかな今回では、やはり、最初に感じるのは、「またドジを踏みやがって」という気持ちが正直なところだ。
そんな針のむしろのようなホスピタリティーブースで、心は寒々、しかし、テントの中は灼熱地獄で頭はくらくら。しばらくして奧が報告に来て、「ラルフのシフトリンケージのトラブルによる緊急ピットインでやむなき不測の事態」という説明にほっとした、訳が無い。それじゃ整備不良じゃないのか?と思うまもなく、チーフエンジニアの中村から、「過去に例のないトラブルで、調べたところ、ロックタイトも使っているし、ワイヤーロックもされていて、メンテナンスミスとは言えない」とのこと。
いつもの通りやっているのだから責任が無いと言われても、では、何も無かったということでという訳にはいかない。これが戦争なら死んでいるし、マシンは日々進歩しているのだから、いつもの通りがいつまでも通用しないのは理の当然だろう。昨日、緩まなかったボルトが今日は緩むかも知れないと考えるのも仕事のうちだ。
それに、この部分の言い訳はまだ聞いていないが、ラルフがトラブルでピットインしてきたのなら、それに続いてピットインしてきた#18の停車位置くらい、もう少し工夫するのが当たり前だと思うが、後ろに押して5秒ロスしていなければ、たぶん、優勝していただろう。いやはや、緩んでいるのは、どうやら頭のネジのようだ。これも平和ボケの一種か?