●#18 TAKATA童夢NSXが独走態勢を築く 昨日の天気予報は少々外れましたが、今日、我々の予想通り少々気温が下がって、絶好のコンディションとなりました。午前9時30分から行われたフリープラクティスは、決勝レースに向け、実際のコースコンディションに合わせたセッテイングを確認する最後の機会です。#18 TAKATA童夢NSXは、木曜日のテストの際、最適のタイヤを選び出すことに成功しました。そのタイヤを使って、道上龍は昨日ポールポジションを獲得しています。朝のフリープラクティスでも、決勝レースを想定したテストに終始して1分25秒796を記録しました。 少々アンダーステア気味ですが、この1分25秒台後半のラップタイムが、決勝レースのボーダーラインとなると思われます。 午後2時予定通りフォーメイションラップが開始されました。 グリーンシグナルと同時に、ポールポジションからスタートした#18 TAKATA童夢NSXは、トップのまま1コーナーに飛び込んで行きました。しかし、5番グリッドからスタートしたラルフ・ファーマンは、A1GPのスタートと勘違いしたようで、コントロールラインを通過する前に前車を抜いてしまいました。そのため、ポジションを1つ上げ4位で1コーナーに進入しましたが、ピットスルーのペナルティが科せられて、8位に後退することとなってしまいました。 トップを走る#18 TAKATA童夢NSXは、後ろに#100 RAYBRIG NSXを引き連れて走っています。共に3周目に1分25秒台にペースアップして、3位以下を大きく引き離しています。7周目に周回遅れをパスする頃になると、#18TAKATA童夢NSXを操る道上龍は、徐々に#100 RAYBRIG NSXさえも引き離し始めました。 スタート前、道上龍は「2位を10秒以上引き離してピットインする」と宣言していましたが、23周目、2位との差を10秒に拡げました。
●実現した最適なセッティング Team Honda Racingでは、35周頃からピットインを予定していました。しかし、4台のNSX-GTのピットが接近していることから、4台で話し合って、ピットインのタイミングを決めていました。 最初33周頃から#32 EPSON NSXがピットインして、次に#8 ARTA NSX、そして#18 TAKATA童夢NSX、最後に#100 RAYBRIG NSXがピットに入る予定でした。 しかし、17周目に#32 EPSON NSXは、最終コーナーでクラッシュしてしまい、再スタートしたものの、ダメージが大きかったことから、ピットでリタイヤしています。 そのため、#8 ARTA NSXは、予定の周回前であってもピットインすることが可能な状況となりました。 2006年バージョンのNSX-GTの最大の特徴は、リアと同じ大きさのタイヤをフロントに履いていることですが、Team Honda Racingでは、リアタイヤを2本だけ交換してピットインのタイムロスを減らす作戦を目論んでいました。そのため、25周過ぎから、2人のドライバーに対して、タイヤの状態を把握するよう、再三指示が出されました。 5番グリッドからスタートした#8 ARTA NSXは、それを取り戻そうとして、ジャンプスタートしてしまいました。そのペナルティによって8番手までポジションダウンしたため、ラルフ・ファーマンは、ばん回するため、タイヤを酷使したようです。そのため、#8 ARTA NSXは、4本総てのタイヤを交換することを決定しました。 独走態勢を築きつつあった#18 TAKATA童夢NSXは、速さだけでなく、もう一つのアドバンテージを確立していました。 木曜日に決勝レース(と予選)で使うタイヤを選択した際、速さだけでなく、タイヤが摩耗してきた時であっても安定して速さを発揮出来るタイヤを選び出していました。それを可能とする最良のセッティングを見出すことに金曜日を費やしていました。 そのセッティングは、タイヤが新しいと、多少アンダーステア傾向を示しました。そのため、昨日の予選の最初の状態や、今朝のフリープラクティスで、軽いアンダーステアを示していました。予選では、セッティングを変更して、操縦バランスを整えました。しかし、今朝のフリープラクティスで示した、軽いアンダーステア傾向は、正に我々の狙い通りのセッティングだったのです。 道上龍によると、10周過ぎからリアタイヤがタレ始めていたようです。その後フロントタイヤが摩耗してくると、微妙にバランスが取れるようになりました。もちろん、そのまま走るのであれば、再びリアが辛くなります。#8 ARTA NSXが、4本交換を選択したため、予定より2周多い37周を走ってピットインしたため、その後にピットインする#18 TAKATA童夢NSXは、2本交換を実行するのであれば、出来る限り早くピットインするべきであるにも関わらず、少々辛い状況でした。 後続を20秒以上引き離しているのであれば、4本交換がベストだったかもしれません。しかし、同じブリヂストンタイヤを履く#100 RAYBRIG NSXとの差は10秒だけでしたから、彼らが2本交換を選択するのであれば、4本交換してしまったら、逆転されてしまいます。 当然リアタイヤを2本だけ交換することとなりました。 #8 ARTA NSXが余計に周回したため、#18 TAKATA童夢NSXを操る道上龍は、ピットインするタイミングを失ってしまいました。ピットでは、#8 ARTA NSXがピットアウトするまで、道上龍に待つよう指示を出し続けました。そうして、やっとピットインの許可を受けた#18 TAKATA童夢NSXは、38周目ピットに滑り込んできました。 同じように、ピットインのタイミングを狙っていた#100 RAYBRIG NSXも、ピットに入ってきました。 予想通り、メカニック達によって、ピット作業の闘いが繰り広げられました。#18 TAKATA童夢NSXのメカニック達は、34.1秒で小暮卓史をレースに復帰させました。10秒のアドバンテージがありますから、この段階で#18 TAKATA童夢NSXのトップの座は確定しました。
●SUPER GT史上類のない圧倒的な勝利 #100 RAYBRIG NSXのメカニック達も、素早いピット作業を披露しましたが、10秒の差を取り戻すことは不可能でした。しかも、レースに復帰した後、#100 RAYBRIG NSXは、タイヤが暖まる前に、3番手を走っていたトヨタSCに抜かれてしまいました。 逆に道上龍と交代して#18TAKATA童夢NSXを操つる小暮卓史は、慎重にドライビングを続けて、2位のSCを15秒引き離しています。 ここから、#18 TAKATA童夢NSXのワンマンショーが始まりました。48周目小暮卓史は、2位との差を20秒に広げました。59周目にリードが25秒に広がると、ピットから、慎重に走行するよう、小暮卓史に指示が出されました。 64周目28秒になったため、ペースを1分28秒台に落として、慎重に走行するよう、指示が出されました。 小暮卓史は、イエローフラッグが出ている区間を非常にゆっくりと走ったため、周回遅れのトヨタSCが接近してきましたが、ピットは、無駄な争いをしないで、先に行かせるよう、指示を出しました。 それでもリードは広がりました。午後4時4分13秒、#18TAKATA童夢NSXがチェッカードフラッグをかいくぐった時、2位の#100 RAYBRIG NSXとの差は40秒以上になっていました。 SUPER GTが性能調整によって、拮抗したレースを実現していることはご存じだと思います。ですから、近年のSUPER GTのレースで大きな差が付くことはほとんどありません。今回Team Honda Racingが成し遂げた圧倒的な勝利は、SUPER GT史上希に見る出来事と言えるでしょう。 ご声援ありがとうございました。
SUPER GT Rd2 OKAYAMA GT300Km決勝レース 1 #18 TAKATA童夢NSX 82LAPS 2 #100 RAYBRIG NSX 82LAPS 7 #8 ARTA NSX 82LAPS R #32 EPSON NSX 17LAPS
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