予選
午後1時40分、いよいよ予選セッションの開始である。セバスチャン、井出の両選手とも綿密なチーム戦略のため、早々にはコースインをしなかった。
待つこと10分過ぎ、予定どおり2台同時にコースイン。
井出は最初から好タイムを続けるセバスチャンを意識せずゆっくりと周回を重ね徐々にペースを上げていく。
アタック開始後のセバスチャンは、すぐにスーパーラップをマーク。井出もそれ以上の高タイムを叩きだし、トップに踊り出る。しかし残念ながらこのタイムは、この周回中、赤旗が出されていたために無効となった。
井出はこの時点で3位だったが、予選終了まで諦めずにアタックを続け見事ポールポジションをゲットした。(晴れ・ドライ)
決勝
ポールポジションからスタートの井出は好スタートを切りトッ プのまま1周目を終えるが、スタート直後のアクシデントにより赤旗となる。再スタートでも井出がトップをキープするが、再びアクシデントが発生し、セーフティーカーが入る。5周目、ローリングスタートによる再々スタートとなり、カートで鍛えたテクニック(井出・談)を使いコントロールラインを通する時点で他を大きく引き離す。レース中盤
までは少しずつ2番手以下に差をつける危なげない走りを見せ(19周目にベストラップ)優勝する。
セバスチャンは2回のスタートとも失敗。再々ローリングスタートでも前車を抜くことは出来なかった。 終始3番手を単独走行してレースを終える。
野村エンジニアの総括
前回鈴鹿ラウンドと異なり、事前テストを行わないで臨んだ筑波では、他チームと同一条件下で戦うレースとなり、真の実力を試される場となった。レースウイーク開始早々より、セバスチャン、
井出両選手はほとんどの時間、ラップモニターの上位3番手以内に名を連ね、時折他を圧倒する ような速さをみせる時さえあった。練習走行で順調な仕上がりを見せた両選手であるが、予選・決勝では井出が十分に実力を発揮したのに対し、セバスチャンは100%を出しきれていない様子であった。セバスチャンは前回鈴鹿に続き、筑波でも2回のスタートを失敗した。スタートとはじ
めの数周がすべてと言っても過言ではないF3レースにおいて、スタートの失敗は致命的であ る。セバスチャン自身、ハード的な問題ではないと言っているが、ドライバーの技術以外に失敗を
引き起こす要因はないかを探る必要があろう。
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