S101.5は、プロジェクトを継続させるため、間に合わせで開発されたという事情もありますが、これまでの開発によって、我々は、確実に走るまでS101.5を仕立て上げました。しかし、速さを追求するためのテストを充分に行う余裕はありませんでした。プジョーとアウディのディーゼルエンジンカーは、我々ガソリンエンジンカーより100馬力も大きなパワーを与えられているため、この5台は、理論上我々より5秒以上速いラップタイムを記録するハズです。我々の目標は、プジョーとアウディのディーゼルエンジンカー以外の一等賞と言うべきでしょう。
午前9時公式テストが開始されました。真っ先にプジョーとアウディのディーゼルエンジンカーがコースインしました。少し遅れて、ヤン・ラマースが乗り組んだRfH童夢S101.5/Juddがスタートしました。 コースが改修されて、舗装が新しいことから、どのマシンもなかなかタイムを上げることが出来ません。最初にリーダーとなったのは、ヤン・ラマースの操るRfH童夢S101.5でした。 ヤン・ラマースはマシンの状態をチェックしながら3分39秒台で走行しました。水温、油温、そしてオルタネーターの電圧等、総てが正常な状態であることを確認した後、ヤン・ラマースはピットに戻ってきました。続いてデビッド・ハートとヨルン・ブリークモーレンが次々と乗り組んで、新サルテサーキットの感触を確かめました。
午前10時30分頃、期待のヨルン・ブリークモーレンが走行中、ポルシェカーブでNo.13クラージュがクラッシュして、赤旗が提示され、走行が中断されました。No.13クラージュが大きなダメージを受けただけでなく、辺り一面にオイルが流れ出たため、30分以上中断されました。 走行が再開されると、プジョーとアウディが互いに牽制しながら、少しずつタイムを上げてきました。もちろん、ヤン・ラマースのタイムは直ぐに破られてしまいましたが、12時15分、今度はP2クラスのクラージュがクラッシュして、走行が中断されることとなりました。 10分後走行が再開されても、プジョーとアウディのディーゼルエンジンカーによる冷戦状態は続いています。プジョーとアウディは、まるで数合わせでもするように、まったく同じ3分30秒605にラップタイムを揃えて、午前中のセッションを終了しました。 今年童夢S101.5を導入したT2Mは、マーダーV8の調子が悪く、7,000回転以上で運転出来ない状態に苦しめられているようです。このような状況の中、T2Mは、初参加のロビン・ロンジェシェルの義務周回をクリアすることを優先して作業を進めているようです。
今年サルテサーキットは大きく改修され、特にユノディエール入り口のテルトルルージュが、従来より緩やかなレイアウトに変わりました。つまり、ユノディエールの1つ目のストレートでの最高速度がより速くなることが予想されました。ユノディエールの1つ目のストレートは、従来も最高速度が記録される場所でしたが、新しいサルテサーキットは、よりハイスピードコースとなったと言えるかもしれません。
マシンの状態を確認すると共に、3人のドライバーがサーキットを確認したため、午後のセッションに入ると、より速さを追求するため、ローダウンフォースパッケージをテストすることとなりました。 しかし、ミシュランのタイヤテストも同時に行わなければならないため、いきなり大きくダウンフォースを削減するのでなく、何段階かに分けてダウンフォースを減らすこととなりました。
ローダウンフォースパッケージをテストしながら、タイヤテストも行いましたが、昨日までと違って、温度が上がっているため、多少堅めのコンパウンドの方が速く走れるようです。 このようなテストを行っていた時、午後3時30分頃デビッド・ハートがドライブ中、ダンロップコーナー先で左リアタイヤがバーストしてしまいました。異物を踏んだのかもしれませんが、デビッド・ハートは、ほとんど1周3本のタイヤだけで走ってピットに戻ってきました。
さあ、そろそろ余裕が無くなってきました。 まだローダウンフォースパッケージのテストは完全とは言えませんが、午後4時30分過ぎからヤン・ラマースが乗り組み、予選タイヤのテストを兼ねてタイムアタックを開始しました。 最初のアタックで、ヤンは3分35秒台を記録しました。プジョーとアウディのディーゼルエンジンカー以外のクラスでは2番手まで上がってきました。タイムボードの直ぐ上には、アウディのディーゼルエンジンカーが居ますから、そのままヤンはアタックを続けて3分34秒035までタイムを上げました。完全なクリアラップでなかったため、容易に3分33秒台で走ることが可能と判断されました。 背後に殺気を感じたのでしょうか、アウディは100馬力のアドバンテージを活かしてRfH童夢を引き離しにかかりました。
ローダウンフォースパッケージと言っても、ヤンは「従来とは比較出来ないくらいの速さでS101.5はポルシェカーブを走れる」と報告しました。そこで、よりダウンフォースを減らすこととなりました。 残りは15分しかありませんが、よりリアウイングを寝かせて、新しいタイヤに履き替えコースインしようとしたところ、またしても赤旗が提示されました。そして、そのままテストは終了されました。 童夢S101.5/Juddが記録した3分34秒035は、総合7番手、アウディとプジョーのディーゼルエンジンカーを除くクラスの2位となります。 マーダーV8の不調に苦しんでいたT2Mチームは、何とかロビン・ロンジェシェルに参加資格を与えることに成功しました。
2007 LeMans Journee Test 7 P1 No.14 Racing for Holland 童夢S101.5/Judd 3分34秒035
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