MOTHER CHASSISとは

■マザーシャシーのコンセプトと可能性
 マザーシャシーは、様々な形の「クルマ作り」を通して自動車開発技術の底辺を拡大することを理念として、JMIAが進めていた企画でした。
 市販ロードゴーイングスポーツカー、オリジナルカスタムカー、EVを含む実験車など少量生産車のベースとして用いることができる汎用シャシーを供給することによって、様々な形の「クルマ作り」を支援し自動車開発技術の底辺を拡大することがマザーシャシーの狙いでした。

マザーシャシーを使えば、コストがかかりがちなレーシングスポーツカーを開発することも容易になります。特に日本のSUPER GTでは活用の可能性がありました。
昨年度よりSUPER GTに参戦しているマザーシャシー車両は、JMIAが上記企画を基にSUPER GTを運営するGTA(GTアソシエイション)に提案、GTAが供給を決めたSUPER GTのGT300クラス向け共通部品(シャシー、エンジン、トランスミッションその他)を用いて開発された車両です。

■GT300クラスの実情
SUPER GTのGT300クラスは、本来、JAF-GT300規定に基づいて開発された日本独自の車両で争うカテゴリーでした。しかしレーシングテクノロジーの進歩につれて、車両開発の技術レベルが上がるとともにコストもかかるようになり、参加者は減少し始めました。
そこでGTAは国際共通規格であるFIA-GT3規定の車両を性能調整のうえGT300クラスに迎え入れることとしました。FIA-GT3は、量産スポーツカーベースに開発された市販競技車両で、ユーザーは車両を購入すればそのままレースに出走可能で、国内外のユーザーに転売もできるので、手軽にSUPER GTを闘いたいというジェントルマンユーザーには大きなメリットがあります。
一方、FIA-GT3は、独自改造は厳しく制限されユーザーは事実上公認パーツの交換以外、車両整備はできないので、レーシングテクノロジーを通してレースに関わりたいと思うガレージにとっては物足りないというデメリットも抱えています。
こうした事情の中、マザーシャシーはGTAが新設したGT300-MCクラスのマシンとして走り始めました。レーシングカーを通してモノ作りができないFIA-GT3には魅力を感じずGT300クラスでレースしたいけれども、最先端の技術には追従できなかったり開発コストを負担しきれなかったりというユーザーのため、ひいては日本国内に蓄積されてきたレーシングテクノロジーの命脈を保つためGTAはマザーシャシーの供給へ踏み出したのです。

■安全性と性能を両立
SUPER GTマザーシャシーの核は、カーボンコンポジット構造の共通モノコックです。GT300車両を開発しようとしたとき、一般的なガレージは、年々向上する走行性能と厳しくなった安全性を両立させつつコストを抑制するという壁にぶつかります。以前は金属を加工すればフレームを作ることができましたが、現代では性能と安全性を両立させることができません。しかしカーボン製フレームの設計・製造には特殊な技術が必要になります。
マザーシャシーは、童夢が開発したUOVA製法をベースに性能と安全性を両立させたうえで製造コストを下げた共通モノコックで、各ガレージが独自開発したサスペンションやボディを取り付ければオリジナルのGT300車両を組み立てられる共通モノコックです(ボディについてはメーカーの許諾が必要です)。マザーシャシー用エンジン及びトランスミッションは、これもまたGTAから共通部品として供給されます。マザーシャシーは、自分たちの頭脳と技能を活かしてSUPER GTを戦いたいと思っていたガレージをそれぞれの技術力と資金力に合わせ支援します。

■活躍を始めたマザーシャシー
マザーシャシーは2014年シーズン後半にトヨタ86のボディを架装して実戦にデビューし熟成を重ねたうえで、2015年シーズンは4台がシリーズにエントリーしました。うち3台がGTAによりコンプリートカーとして製作されたトヨタ86、1台がロータス・エヴォーラで、エヴォーラはエンジンをミッドシップに搭載しています。
本格参戦となる2015年シーズン、マザーシャシー車両は、本格的なレースカーとして、特にテクニカルなサーキットではその速さを示すようになり、予選では、第3戦でVivac 86 MCがポール、第5戦鈴鹿と第7戦オートポリスでLOTUS EVORA MCがポールを獲得、決勝ではVivac 86 MCが開幕戦岡山で6位、第4戦富士で5位に入賞、第6戦SUGOではマザーシャシー車両として初めてGT300クラスで優勝を飾りました。来シーズン、熟成と進化が進むことで、マザーシャシー車両の更なる活躍が期待されています。