株式会社童夢は、バイオコンポジット素材の原料である天然繊維の織物(ampliTex/Bcomp社製)を、樹脂メーカー協力のもと国内にて独自開発した熱硬化性樹脂を含浸(プリプレグ化)*1させ、オートクレーブ成形に適した、童夢オリジナルのプリプレグ「DNAP (ディーナップ)」の開発に成功しました。
*1 プリプレグ化とは:成形に適したマトリックス樹脂を織物(生機)に含浸(プリプレグ化)させ、オートクレーブ成形に適した状態にする事。
2024年5月:DNAP改良版発表 https://www.dome.co.jp/news_n/news_20240522.html
炭素繊維複合材料 CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic)は鉄よりも軽くて強いという特徴から、21世紀に入り、自動車や航空機をはじめとする様々な製品に用いられています。特に地球温暖化が叫ばれる現代では、軽量化を図ることにより燃費の向上を促進させ、CO2削減効果を高める、という観点からこの問題に取り組んでいる企業もあります。しかしながら、CFRPはリサイクルの難しさを抱えています。
そこで、CFRPに近い剛性感を持ちながらサスティナビリティを考慮したモノづくりを可能にする、ハイパフォーマンスでサステナビリティなコンポジット材料をご紹介させていただきます。
DNAPに採用しているBcomp社の天然繊維の織物材料の主成分である亜麻(フラックス)は、主にヨーロッパで栽培されているアマ科の一年草です。亜麻栽培は、肥料や農薬などをほとんど使用することなく、自然の摂理を利用したシンプルな工程で何千年も前から行われています。また、生成時にCO2の排出が無く、成形後の製品も焼却可能な為、地球環境への負荷は全くと言ってよい程ありません。
亜麻(フラックス)自体の引張強度は炭素繊維には及びませんが、Bcomp社の織物材料であるampliTexと、網状の材料であるpowerRibsを併用することにより、CFRP品に近い剛性感を維持したまま更なる軽量化が可能になります。加えて、振動減衰性はCFRP品より優れており、また、クラッシュ時の破片の飛散が少ないこともあり、近年の海外モータースポーツ車両には多く採用されています。
童夢では、欧州のモータースポーツ業界でCFRPからの材料置換が加速度的に進んでいるBcomp社の麻繊維材料を国内樹脂メーカー協力のもと、国内でプリプレグ化に成功。2020年に開幕したフォーミュラリージョナルで日本国内レース初採用。車両はダンパーカバーの下にGPSを配置しており、該当部分を炭素繊維から麻繊維材料に変更することで電波遮蔽を防ぎました。
今後数年内に、国内のモータースポーツでの採用がレギュレーション化されることが予想されるBcomp材料を調査分析したところ、モータースポーツ業界で採用されているampliTexの90%近くがampliTex品番5040であることが判明。童夢では品番5040を国内樹脂メーカー協力のもとプリプレグ化し、Bcomp社とのパートナーシップにより、弊社にてBcomp材料の販売が可能となりました。 Bcomp社公認の上、品番5040のプリプレグ材料以外にも、樹脂含浸のされていない生機(きばた)や、パワーリブのご注文も承っております。お気軽にお問い合わせください。